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本日はハイブリッドカーについてその2。 整備関係の裏話
プリウス
ここまで世の中がハイブリッドカーであふれてきたら、 さすがに無視して通れないのが整備士というものですね。
本日はハイブリッドカーが事故ったら?
その話の前に万が一、補機バッテリーが上がってエンジンがかけられなくなっちゃったら。 これはイメージ的に、バッテリー上がりでセルモーターが回らないでエンジンがかけられない場合
と酷似しています。
補機バッテリーにてハイブリッドシステムを動かしていると。 で、12Vの補機バッテリーが上がってしまうと、ハイブリッドバッテリーに電圧が残っていても システムが動かないためハイブリッドモーターによるクランキングが出来ない。
これは普通にブースターケーブルで救援をしてもらうことが可能ですが、
20プリウスの場合は、エンジンルーム内のヒューズボックスに救援用端子(+をつなぐ) とその対極側にあるナット(−をつなぐ)にブースターケーブルでジャンピングさせて
ハイブリッドシステムを呼び覚まし、エンジンをかけることができます。 普通のつなぎ方とはちょっと違うので、気をつけましょう。
そして怖いのがハイブリッドカーが事故したら。
わが社ではプリウス2台とハリヤーハイブリッド1台が売れていますが、 今のところ遭遇したことがありません。ハイブリッドカーの事故現場。
まず一番ヤバイのが高電圧部分。高電圧部分が事故による衝撃でショートしていないか?
トヨタのハイブリッドカーが事故ったらもって行かなきゃ行けないものがあります。
絶縁手袋 ゴム手袋 保護めがね 安全靴 飽和ほう酸水20L 赤色リトマス紙 ウエス、タオル ガムテープ・ビニールテープ サーキットテスタ
ハイブリッドカーが事故したら、高電圧部分の処理ともしかしたら漏れ出した ハイブリッドバッテリーの液などによる化学的災害を防ぐことが必要。
まずはめがねや手袋して準備万端。
特にニッケル水素バッテリーは、液漏れしていると強アルカリ性電解液の恐れがあるので、 素手で触れないようにゴム手袋してリトマス紙をしみこませ、青色に変化したら 飽和ほう酸水で中和させる。中和後、もう一度リトマス紙で点検して、青色にならないことを確認して ウエスでふき取る
ちなみに飽和ほう酸水20Lは薬局にて粉末のほう酸を800g買って、20Lの水に完全に溶けるまでよく溶かす。
バッテリーからの液漏れ処理をしたら、絶縁手袋にはめ替えて 高電圧処理をしないといけません。通常、トヨタのハイブリッドには高電圧回路を遮断させる サービスプラグがついています。それを抜けるようなら抜く。
もし事故で抜けそうにない場合は、ハイブリッドのHEVニューズを引っこ抜きましょう。
とにかく化学捜査班なみに装備をしていかないといけないのがハイブリッドカーの事故。 高速で、20プリウスが横転事故を起こした際にはレスキュー隊が出動したケースもあります。
それほど通常の車以上の取り扱いが必要なんですね。
因みに、昔も書きましたが検査ラインに乗せるときは整備モードにすること。 整備モードのまま、検査ラインが終わっても走り続けないこと。 それをやってしまうと、トランスアクスルのプラネタリーギヤがオーバーロードを起こして破損してしまいます。
因みに整備モードにしないで、スピードメーターテスターに乗せると トラクションコントロールが作動して、36km/hでフェールセーフがかかってしまいます。 前輪は回っているのに、後輪は回っていない。うーむこれはおかしいぞとECUが トラクションコントロールをONにしてしまうためのフェールセーフです。
あと、エアコン。10プリウスはエアコンコンプレッサーはベルト駆動。 20プリウスはハイブリッドシステムによる駆動です。
いわゆる20プリウスの場合、エンジンオートストップによってバッテリー充電が終わって
自動的にエンジンが止まることがあるんですが、その際にはベルトじゃ
駆動できないのでハイブリッドバッテリーの電力で 家庭用エアコンみたいに電気でエアコンを作動させています。
なので、エアコンが壊れたら、実はちょっとお高い整備になってしまう可能性もあるということ。
というわけで、あまり知られていないハイブリッドカーの裏話でした。
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